「Global Youth Project in Indonesia 2019」活動報告

プロジェクトの趣旨

 2019年は3月9日から3月17日の日程で「グローバル・ユース・プロジェクトin インドネシア 2019」(研修企画:YSP-Japan)を開催しました。今回、日本から社会人と大学生を含む10人がプロジェクトに参加しました。また、今回からYSPインドネシア支部のメンバーも2人参加し、国際色豊かなメンバーとともに活動を行いました。このプロジェクトを行うに際して三つの目的を設定しました。
 

  1. 世界の問題を自分の問題として考えられるグローバルリーダーとなる。
  2. 自然の大切さを感じ、失われた自然を回復させ、地球や次世代の未来を守る。
  3. 現地の人々との交流を通して、国を超えたOne Global Familyを実現する。

 具体的な活動は以下の四つです。

  1. 現地の高校生とともにアンププとモリンガの苗木600本植林(バリ島)
  2. 日本文化教室やホームステイを通して国境を超えたOne Global Familyを体感
  3. 「生命の森」にて、地球の未来を守るモリンガを400本植林 (カリマンタン島)
  4. 熱帯雨林散策や絶滅危惧種との出会いを通して環境の価値を体感

 現地ではプロジェクト全般にわたり、NPO法人アジア植林友好協会の宮崎林司代表理事に大変お世話になりました。心より感謝申し上げます。

世界平和の森づくりプロジェクト in バリ島

 バリ島北部に位置するバトゥール山は160年前に火山爆発し、多くの森林が被害を受け、辺り一面は真っ黒な岩石に覆われてしまいました。森林が減少したことにより、バトゥール山周辺の湖の水位は減少。集落に必要不可欠な水源の確保が求められてきました。YSP-JapanはNPO法人アジア植林友好協会の協力を得て、植生の回復していない荒廃地に 植林をすることで水源涵養林の造成行うプロジェクトに挑戦しています。
 3月10日、プロジェクト初日は植林地のトレッキングを行いました。2008年から植林支援を始めて11年目となる2019年。植えた当時は小さな苗木だった植物も、現在では3メートルを超える木に成長し、立派な林を形成していました。
 「目の前にある木を見てください。皆さんはこの木が立っていることを当たり前と思うでしょう。しかし、この木は何十年、何百年も昔に誰かが子孫のために植えた木なのです」
 宮﨑代表は青年たちにそのように語ってくれました。ゴツゴツとした岩場にしっかりと根付く自然の強さを実感する時間となりました。
 

 3月12日、植林当日は雨季とは思えない絶好の日和。現地の高校生40人とともに足場の悪い中を歩きながら、一本一本丁寧に、心を込めてアンププとモリンガの苗木を600本植えていきます。すでに植える場所には目印が立ててあって、私たちはスコップで穴を掘って、苗木を入れ、土をかぶせて出来上がり。作業はとてもシンプルです。現地の高校生と私たちの手がかぶさり合うように植えた苗木の周りを強く押して固めていきました。

 

 日本とインドネシアの青年たちは汗を流しながら一緒に協力して苗木を植えていきました。心を込めて植林された苗木たちは、やがて地球を生かす立派な森林へと成長してくれるに違いありません。参加した大学生の女性が笑顔を浮かべて感想を述べてくれました。
「心を込めて木をまた見に来るという将来の楽しみが一つ増えました!」

現地の高校生との日本文化交流とホームステイ

 植林活動を行う前日、3月11日にはキンタマーニ第一高校を訪問し、2クラスに分かれて日本文化紹介の授業を行う時間をもちました。インドネシアの誰もが知っている「ドラえもんの歌」を日本語とインドネシア語で共に歌ったり、「鬼ごっこ」や「福笑い」、「折り紙教室」を開いて、交流する時間をもちました。言葉が通じない中ではありましたが、学生たちは参加者とともに言語を超えた交流を楽しみました。
 

 午後からは高校生の家庭に一泊ホームステイをするチャレンジアクティビティーを行いました。不安そうな顔を見せていた参加者でしたが、生徒の自宅を訪れるとご家族が自分の息子や娘が帰ってきたかのように迎えてくれました。各家庭でおもてなしの方法はさまざまでした。バスケットボールを行ったり、親戚の結婚式に突然参加させてもらったりしました。今回のプロジェクトに参加した高校生はホームステイの感想をこのように述べてくれました。
 「ホームステイをさせてくれた子が滝に連れていってくれました。近所の子供たちはその場所を写真スポットにするため、写真映えする道具を自分たちで作って、外国人観光客がくるように社会のために努力をしていました。本当にすごいと思いました。私も社会のために何かをやるべきだと思いました。多くのことに挑戦して、身に付けていきたいです」。
 ホームステイは現地の家庭での生活は日本の豊かさに気付く時間でもありました。中でもシャワーを手桶で浴びる様式に衝撃を受ける参加者もあり、日本の豊かさに感謝するとともに資源を大切にすることの尊さを実感しました。

 

 3月12日の植林後の昼休みには「兄弟姉妹結縁式」を行いました。兄弟姉妹結縁式とは国籍や文化の違いを超えて家族の絆を結ぶ式典です。ホームステイや植林をともにすることで得た心の絆を深めることができます。日本人参加者はホームステイ先の生徒たちとともに兄弟姉妹結縁を結びました。

世界平和の森づくりプロジェクト in カリマンタン島

 3月13日にはバリ島でのプログラムを終えて、次に向かったのは「カリマンタン島」です。「地球の肺」として知られ、熱帯雨林や希少な動植物の宝庫であるカリマンタン島も森林伐採や自然火災の影響で急激に環境が破壊されています。また、近年ではパーム油の需要の拡大に伴って、その原産であるパームヤシ畑の増加が大きな問題になっています。パームヤシ畑は熱帯雨林を伐採して作られていることが多く、経済を求めるあまり、希少価値の高い森林が消えている状況にあります。日本ではお菓子や洗剤、そのパッケージに使用され、「植物性油」とだけ記載されています。私たちも知らないうちに森林伐採に協力してしまっているのです。
 私たちは「地球の肺」と称されるカリマンタン島での植林をすることが、地球環境問題の改善に直結すると信じています。そこでYSP-Japanでは「奇跡の木」として知られる「モリンガ」の苗木の植林を継続しており、今回も現地のかたがたとともに400本のモリンガを植林しました。モリンガは一般の木の20倍のCO2吸収量を誇ります。成長も早く、何よりも葉や種に母乳に匹敵する栄養素が含まれているため、貧困解決にも有効な植物で知られています。参加者は火災があった跡地に、一本一本丁寧に植林をしていきました。
 また、カリマンタン島ではオラウータン・リハビリテーションセンターにて絶滅危惧種オランウータンやツキノワグマとの出会いや国立公園ブキットバンキライを訪問し、希少となりつつある熱帯雨林の散策を行い、自然の価値と尊さを体感する機会をもちました。

地球が壊れるその前に、私たちにできること

 「Global Youth Project in Indonesia 2019」を通じて今回植林した苗木は1,000本になります。YSPとして2008年からインドネシアで植林した累計本数は5,350本となりました。今回の植林は、一年間をかけて皆さまから頂きましたワンコイン・プロジェクトのご寄付や植林サポーターの皆さまからの定期的なご支援を使用させていただきました。皆さまのお気持ちに心より感謝申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。
 私たちは今後とも国連が掲げる持続可能な開発目標SDGsの目標15「陸の豊かさを守る」を達成し、地球と未来の子孫たちを守るために、青年による環境問題の解決に向けて取り組んでまいります。YSP-Japanでは世界平和の森づくりプロジェクトを支えてくださる「植林サポーター」を随時募集しております。毎月500円で一本分の植林支援ができる「植林サポーター」を募集しています。詳細はYSP-JapanのWebsite「Contact us」の入会案内をご確認ください。皆さまのご協力をよろしくお願いいたします。
 
 

参加者の感想

・植林によって、未来の子たちが、私と同じように自然環境を見て、癒されたり美しさに感動したりとそんな素敵な体験をさせてあげられるのだと思うと、とてもうれしくなりました。自然環境を守ることは、地球の未来を守ること、次世代に残すというのがどういうことが分かった尊い時間でした。未来のために私ができることは何だろうと考えるようになりました。 (大学生・21歳)
 
・インドネシアでの植林体験は初めてでした。インドネシアの岩に囲まれたところで、植林をするのは非常に大変でしたが、みんなで協力して楽しく行うことができました。青年や学生たちが一生懸命にやっている姿に感銘をしたし、誰かのために全力を尽くすことの喜びを改めて実感しました。植林を通してインドネシアを、地球を助けないといけないと感じました。(社会人・26歳)
 
・現地の高校で行った日本文化紹介が非常に印象的でした。折り紙と鬼ごっこを自分たちで考えて行いました。鬼ごっこを説明した時、最初は高校生たちがどういう反応をするのか不安だったのですが、実際にやってみるとみんな楽しそうに走り回って喜んでいました。何より私自身がみんなと一つになって楽しむことができました。 (大学生・23歳)
 
・ホームステイは不安だったのですが、実際はとても私を受け入れてくれてとても優しいかたがたでした。すごくもてなしてくれたし、家族の一員として貴重な時間を過ごすことができました。ホームステイ先のお母さんが最後に「不便もかけたかもしれないけど、来てくれて本当にありがとう」と英語で言ってくれた時に、とてもうれしかったです。今度は私が現地の言葉で感謝を伝えたいなと思いました。 (社会人・24歳)
 

スケジュール

3月10日 バリ島に到着し、北東部へ移動
植林地トレッキング (植林の成果と価値を実感)
3月11日 キンタマーニ第一高校にて日本文化交流
ホームステイ・プログラム
3月12日 アンププとモリンガの苗木600本植林/兄弟姉妹結縁式
3月13日 ▼バリ島のみの日程の参加者
異文化体験、バリ島観光
14日、日本到着
 
▼カリマンタン島訪問メンバー
バリクパパン市(カリマンタン島)へ渡航
オランウータン保護施設訪問
3月14日 オランウータンやツキノワグマ見学
生命の森にてモリンガ400本の植林
3月15日 ブキットバンキライ国立公園訪問、日本軍慰霊碑参拝
3月16日 カリマンタン島からバリ島へ渡航
異文化体験、バリ島観光
3月17日 日本到着
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