活動レポート

日韓青年学生平和プロジェクト

 YSP-Japanの第1地区連合会とYSP-Koreaは、2019年12月31日と2020年1月2日、日韓両国の青年たちが手を取り合って平和な未来を構築するため、”Together for Tomorrow”(未来のために、ともに)のスローガンのもとで日韓青年学生平和プロジェクトを開催しました。これは日韓の青年学生が両国を相互に訪問し、交流するプログラムの一環です。
 現在の日韓関係は戦後最悪と言われますが、このような時こそ、両国間の民間交流を通じた相互理解の促進が重要です。両国を相互に訪問し、相手国の立場に立って考えることに意義があるのではないかと考え、今回の企画にいたりました。
 日韓関係の意識調査によると、韓国世論の84%が関係改善のための筆頭項目として「歴史認識問題(慰安婦、徴用工)の解決」を挙げています。そこで今回は、この問題について韓国の人々の考え方や捉え方を学び、実際に心の傷を負ったかたがたを慰労するために関連施設を訪ねました。

[1]ナヌムの家を訪問(12月31日)

 今回の日韓平和プロジェクトでは「理解」と「共感」を重視しました。戦争で心の傷を負っている元慰安婦のかたを慰労し、直接お話を伺うためにナヌムの家を訪問しました。「ナヌム」とは韓国語で「分かち合い」を意味しており、同施設では元慰安婦の方々が共同生活をしていらっしゃいます。
 この施設には日本人がよく訪れるようです。そのためここには日本語通訳のかたもおられます。今回、元慰安婦のおばあさんからは、日本に対する恨み言は一切聞かれませんでした。おばあさんはとても明るく私たちを歓迎してくださり、「あなたたちには罪がないよ。私はあなたたちが憎くないし、むしろ来てくれることにうれしく思うよ」と実の孫に語りかけるように話してくれました。参加者はお話を通してどのようなご苦労を通過されたのかを理解できるように努めました。一番多く語っていたのは、結婚に関する内容でした。「早く良い人と結婚して、親の話を良く聞くんだよ」「お姑さんとは仲良くするんだよ」ということを親身に教えてくれました。
 私たちが出会ったおばあさんから、元慰安婦のかたの全てを知ることができるわけではありませんが、お話を聞くことで、ニュースや資料を読むことだけでは分からない、元慰安婦のかたの今の気持ちがよく伝わってきました。

<参加者した青年の感想を紹介します>

「日本の青年として、どのような接し方をすればよいのか分からなかったのですが、おばあさんは日本人の一人一人は、みな良い人だと言ってくださりとても驚きました。このような活動を通して、韓国のかたの恨みの思いが解けていき、それを通して日韓友好が成されればと思います。」

[2]白凡金九記念館(1月2日)

 1月2日には、白凡金九記念館で日韓の青年と韓国人被爆者による交流行事を行いました。戦争で辛い経験をされたかたのお話を聞き、慰労することを目的とした企画です。ここでは両国の青年による合唱やダンスパフォーマンスが披露され、日本で被爆されたかたのお話を聞きました。韓国人被爆者のかたは「若い学生さんたちが、遠い所から来てくださったことに、今胸がいっぱいです。…被害者たちが一番願うのは、恒久の平和のために日本と韓国の学生たちが一緒に頑張ってくれることです。」と激励してくれました。
 その後、両国の代表が戦争でご苦労されたかたへの慰労の気持ちを手紙で読み上げました。参加した全ての人がお互いに敬意を払い、心を通わせる時間となりました。

<参加者した青年の感想を紹介します>

「結婚相手が韓国人なので、日韓の問題は他人事ではありません。やはりお互いの国や文化を尊敬し合い、今後、協力しながら共に進んでいきたいなと思いました。日本と韓国がもっと近くなれるように自分にできることをやっていきたいと思いました。」
「個人では、お互いを尊重し歴史を超えて友好的になろうとする希望はありますが、国という立場から考えるとどうしてもお互いの立場を意識してしまいます。でも家族の関係になると国をも超えた関係が形成できる要素になるのだと、今回の集会を通して感じました。偏った情報は日本にも韓国にもありますが、両国のよりよい未来を築けるように責任ある思考と行動を取れるようになりたいです。」

[3]西大門刑務所、青瓦台と旧日本大使館前での宣言(1月2日)

 西大門刑務所は韓国の視点から見た歴史を学ぶ場として訪問しました。ここでは日韓の両青年が歴史を乗り越えて両国の平和のために未来志向で交流を深めていくための式典を行いました。そして韓国政府と日本政府に向けた未来志向の青年交流を宣言するために、その象徴的な場所として青瓦台前と日本大使館前を選びました。これらの会場では、韓国の青年たちが2020年の東京オリンピックを応援し、日本の青年たちは、2032年、夏季オリンピックの南北共同開催を応援していくことをそれぞれ宣言しました。

<参加者した青年の感想を紹介します>

「日本大使館にいきました。大使館前に皆で整列し、ボードを持っていたのですが、韓国YSPの方のスピーチが元気よく、その勢いに圧倒されました。私も堂々とした態度で日韓友好を宣言したいと思いました。」

 次回の企画では韓国に住む青年たちが日本を訪問し、日本の歴史を学んだ上で、活動を行う予定です。

PAGE TOP